両眼視機能 融像と輻輳



両方の目で同時に、一つに、立体的に見える両眼視機能は、中心窩が発達し、ピント合わせが出来る様になる2歳の頃までには、調節とともに輻輳の機能も発達することで確立してきます。近くのものにピントを合わせることで、両眼はそのターゲットに向かって輻輳します(調節性輻輳)。また中心窩にものを捉えるために、輻輳します(融像性輻輳)。これらが自然に行われるのは、中心窩に映る像を視中枢で制御しているおかげです。


目の前にあるものは網膜黄斑部にある中心窩で捉えられ、視神経を通じて後頭部にある視中枢にに伝えられて初めて、目の前に物体があると自覚されます。中心窩以外の視細胞もそれぞれ眼前のものが、視中枢ではその視細胞に対応して眼前に映し出されます。またそれぞれの目に別々の物体を見せても、視中枢からイメージされたものは、同じ空間に投影されます。これが出来ることが同時視。右目に虎が見えて、左目に枠が見えれば、枠の中に虎がいる様に見えることになります。これは両眼視機能にとっては先ず出発点で、複視を避けるために抑制といって、反対の目の中心窩で無いところに視中枢の繋がりを組み替えてしまうと、この同時視も難しくなる場合も起こります。


さて本来は両眼でものを見るときには、両眼の中心窩の向きを調整してものを見たり、追いかけたりします。目には6つの眼筋が付いており、ものを追いかける刺激は中心窩からのズレによって起こる。左右の中心窩にほぼ同じものが映れば、視中枢において眼前に一つのものとして感じ取れる。この機能を融像という。融像できるには、中心窩の視細胞からの投影されたある一定の幅があり、パーナム融像範囲と呼ばれる範囲で起きる。これを超える眼位ズレが起こると、融像は出来ず、像がぼやけ複視になる為、両眼は視中枢から常に両眼視を維持できる様に刺激されている。このことが融像の質を支えている。


立体視はその融像できる範囲(パーナム融像範囲)の中でも、前後の感覚を維持できることによって起こりうる。融像しているものも、左右の目の位相の違いから立体的な像として捉えている。止まっている像は10秒角ほどと言われているが、動くものを追いかけたり、目が動いていれば、その精度は下がってくる。また中心窩以外の以外の視細胞(錐体及び桿体細胞)も融像には貢献しているが、立体視は主に中心窩の錐体細胞と視中枢との感度に拠っている。


勿論片目だけでも物体の大きさや、距離感などの視覚的キーによって立体感は得られるが、本来両眼で、ものが一つにはっきりと、立体的に感じられていることは、進化の過程で得られた贈り物として毎日の生活でその価値を享受できなければならない。


両眼で複視もなく生活できている中で、眼精疲労といわれる様々な不快な視覚の症状は実はこの両眼視機能が不十分なことから起こっていることもある。眼精疲労は眠ったり、休憩したりしても治らない目の疲れとされている。その症状は目が疲れる、ぼやける、かすむ、目が痛い、充血する、目が重い、しょぼしょぼする、眩しい、涙が出るなどがあり、ひどくなると肩こりや頭痛、倦怠感、吐き気など様々なものがいわれている。屈折異常は眼鏡やコンタクトレンズで正しく補正されており、尚且つ白内障や他の目の病気は原因では無いときに、必ず確認すべきはこの両眼視の質を確認しておくことが必要になる。


この項は両眼視機能 斜位と融像 で述べる。