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オプトメトリストの役割

オプトメトリストという職業の名前は、Opto 光 meter 測定 から来ており、本来光学の専門家であり、屈折異常(メガネの度数)の測定から、幾何光学の研究、応用まで幅広い。optician (眼鏡作製) 、ophthalmic dispenser(英国での眼鏡作製) が、職業の前者として存在するが、米国や英語圏では、optometry school が4年生の専門学部として確立され、M.D. (医師)や D.D.S (歯科医) と並んで、O.D.(Doctor of Optometry 検眼医)として、医療職種として確立されている。しかし日本では同様の学位、国家資格が存在しないので、視機能検査士、または視覚調整士などが表記としては適切かもしれない。


米国においては、医学や医療制度の発達に伴ってオプトメトリストの職域も多岐にわたっており、メガネの処方、コンタクトレンズのフィッティング、視機能訓練、ロービジョンケアー、点眼液を使用しての眼底の検査を含めて、眼病や全身病の眼のケアーや、白内障術後、レーシックや角膜移植のフォローなどもおこなわれている。子供達の両眼視機能を改善させて、学習障害などの児童への取り組みもおこなわれている。


これらの取り組みは、総称されてビジョンケアーと呼ばれるが、オプトメトリストは眼鏡の作製にも携わることが多いことから、一般開業医と並んで、プライマリーケアーのプロバイダーとして、視機能の問題の発見と管理や、全身病の症状について、専門医への紹介なども重要な責務となっている。日本でもメガネの作製の90%は眼鏡店で行なわれていると言われている。その職務に携わる者として、ビジョンケアーは常に念頭においてお客様に応接しなければならない。


眼鏡作製の原点は屈折異常の正確な測定にある。近視、遠視、乱視などに分類される。遠方からの光点は平行光線となって眼に入り、角膜、水晶体などの透光体を通過して、網膜の黄斑部と言われる視細胞の高密度の位置に焦点が集まり、その像を視神経を通じて大脳の後局部にある視神経中枢で確認されることで、ものが見えるという視認が行われる。主たる透光体の屈折力や眼球軸の長さで網膜上にピントが綺麗に合うかが決まってくる。また縦横などの方向によっても屈折が違う場合は乱視として距離にかかわらず、補正が必要になる。


遠方無限大からの光点が網膜上にピントがあえば、正視と呼ばれる。一般に視力検査と言われるものは5mの距離にある視覚1度(網膜の一つの視細胞によって識別できる角度)が見えれば、1.0として目が良いと判断される。しかしこれは調節といってピント合わせをしない状態でいえることであって、例えば遠視と言われる屈折異常も、調節できる範囲であれば、1.0以上が見える。遠視は網膜よりも後方にピントが合うが、水晶体の屈折を変えることで、網膜上にピントを合わせることができる。学生時代に目は友達以上によく見えている方が、40、50歳を過ぎて、遠方の視力が落ちて、免許も眼鏡使用になる方は、屈折異常の遠視以上に調節してピント合わせができなくて、0.7以上が見えなくなってしまうことがある。勿論遠視だけの屈折異常であれば、眼鏡を使用することで条件はクリアできる。


また一般に多い近視は、5mの距離では1.0の小さな指標は見えないが、例えば0.1の1番大きな指標が見えれば、0.1の近視と判断される。近視は眼前の有限の距離から発する光点のピント合わせはできるので、10Dと言われる強度近視でも10cmの距離では1.0の指標にピントを合わせることができる。5m(検査上無限に近い距離と考える)の指標が、近視では網膜よりも前に結像するが、先ほどの10Dの近視であれば、-10Dのマイナスレンズを眼鏡の位置に装用すれば、5m先の1.0の指標が見えるという仕組みである。メガネの役割は屈折異常を中和(プラスマイナスゼロ)にすることにある。


乱視は軸度と度数で表記されるが、例えば縦の方向が+1.0Dの遠視で、横方向が-1.0Dの近視であったとすると、縦方向は調節してピント合わせをすれば視力が1.0、横方向は近視なので0.3ぐらいになりそうだが、縦横別々に調節をかけることはできない。そこで目を細めたり、縮瞳することで、最小錯乱円と呼ばれる縦軸と横軸の中間の位置にピントを持っていくことで補っている。裸眼視力は1.0近くに持っていくことができても、常にどの距離でもピント合わせをおこなっていなければならない。裸眼視力は悪くないのに、車の運転やパソコン作業で目が疲れる。結果として目薬を多用してしている方も多いかもしれません。


正確に屈折異常を確認できても、この度数は5m以上の遠方を見ていることを想定していて、デスクワークなどの近方作業や読書などは、調節を使ってピント合わせを行なっている。一般に2歳ほどで調節力は大人に近くでき、ピント合わせや両眼を一緒に使う機能が発達してくる。また20歳ぐらいが調節力のピークと言われ、40歳を過ぎてくると近業に必要な調節力が足りなくなってくる。遠視で眼鏡をかけていない人は、遠視の中和と近業の為の調節力が必要で、まずその症状に最初に気づく。


近視の方は症状に気づいても眼鏡を外せば近視の度数に応じて近業はできるので、まずいわゆる老眼と自覚することは無い。それで自分は老眼にはなっていないと判断する。それでも50代になると近業に必要な調節力の低下は日常の生活や仕事にも影響が出てきて、眼科や眼鏡店に相談に来ることになる。老眼という言葉は、強い響きがありますが、加入度という遠方と近方の処方度数の差が少ない、例えば1Dぐらいの方であれば、最近の遠近両用のレンズを装用しても、まず違和感を感じることは少ない。中程度以上の近視であれば、まず遠近両用の装用に問題がある事が少ないし、眼鏡を外さずに近くが見えることに改めて喜ばれる方の方が多い。


強い遠視で遠方用に眼鏡を装用した事がない方や 、軽度の近視で近業は眼鏡を外せばまず困らない方は、逆に加入度が強くなってから遠近両用を作ることになって、装用に慣れるのに少し時間がかかる事があります。加入度が大きくなっている原因は、読書用のメガネしか持っていない遠視の方や、乱視や不同視で常に調節を強いられている人や、軽度の近視で、眼鏡を外しても近くが見ずらくなって仕方なく加入度の大きい遠近両用の眼鏡を試される方になる。


メガネの作製もレンズの設計の選択や、アイポイント、頂点距離、反り角などのメガネの調整にも、より慎重な取り組みが必要になります。多くの事例を経験した専門家にご相談をお勧めします。その役割はオプトメトリストと認定眼鏡士が適任で、屈折異常と眼鏡調整を合わせた経験と知識がお役に立ちます。


以上は屈折異常について、矯正視力つまり屈折異常を中和することで視力が改善できる方です。目や全身の疾患によって視力のでにくいかたのケアーや、視力はあっても両方の眼を協同して使う両眼視機能が上手くできていない、又は目の病気や全身病の影響で、矯正視力が改善されていない方は、屈折異常の矯正以外にも対処が必要になってきます。


これについてはさらに述べていきたいと思います。